サクラ

 

 

私は叶わぬ恋をした。

死人である私でもまだ『恋』と言うものができた。

しかし私は死人で、ただそれだけが事実だった。

どんなに頑張ろうと、相手を好きになることはできなかった。

けれど逆に考えれば、歳子が私を蘇生しなかったら私は

辰伶に出会えなかっただろう。

 

 

ヒラヒラと桜の花びらが舞落ちる。

1枚を掌にのせてみる。

その桜に息を吹きかけ、桜はまたヒラヒラと舞う。

「どうかしたのか?」

後ろから辰伶の声がした。

「別に・・・・ただ、桜を眺めていただけ」

「・・・・・・・・・・・」

この恋が叶わないことは分かっている。

辰伶は誰かのことしか、思っていないから・・・・。

その『誰』なのかは何となく分かる。

ワ タ シ ハ  叶 ワ ヌ 恋 ヲ シ マ シ タ

 

この気持ちは自分の胸の内に仕舞っておこう。

決して辰伶には打ち明けてはならない気持ち。

その代わり、命を懸けて辰伶を守り抜こう・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

ねがはくは花の下にて春死なんそのきさらぎのもち月の頃

 

 

 

 

 

 

 

end・・・・・・。

 

 

 

 

あとがき。

 

突発です。

本当に突発作品です。

国語で短歌を習ったときに、↑の短歌を習ったんですよ。

作者は西行法師さん。

意味は、

『願いが叶うのなら、二月の満開の桜の下で死にたい』

と、大体こんな意味だったような・・・・。

それでは・・・・。

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